中学英語とは違い、高校英語は難度が高く「対策が分からない」という方は多いのではないでしょうか。実際、英語堪能な外国人でも日本の大学入試の英語問題は難しくて解くことができないそうです。そのぐらい難解な高校英語は丁寧に着実に、そして効率的に対策する必要があります。
本記事では英語の勉強法について、気を付けるポイントや解答テクニックなどを詳しくご紹介します。興味のある方はぜひご参考ください。
高校生向け英語勉強法の基本

近年の大学入試ではTOEFL、英検などの英語検定試験を導入しています。これらは英語4技能(聞く・読む・話す・書く)の測定を目的としており、4技能の習得が必要不可欠となっています。英語4技能を身に付けるために、まずは英語学習の基本を解説します。
「読む・書く」について
英語学習は基本的に「英単語・英文法・長文読解&英作文」の3段階を順に勉強していくのが理想です。単語が分からなければ文法も理解できない、文法が理解できなければ長文は読めないし、英作文は書けません。単純な理屈ですが「なかなか点数が上がらない」という不安や焦りから、いきなり長文や英作文を始めてしまう方がいます。まずは冷静になって、基本ルール「英単語→英文法→長文読解&英作文」の順番で取り組んでいきましょう。
「聞く・話す」について
リスニングやスピーキングが苦手という方は、まずは英語に触れる時間を増やしましょう。「CDを聞く」「教科書を読む」という基本的な勉強をできていない方が意外と多いです。具体的な勉強法は後ほど解説しますが、まずは聞く・声に出す量を増やすことです。あなたは子どもの頃、親御さんの話す日本語を聞いて真似るところから始まり、日本語を話せるようになりました。英語も同様で特別な方法はありません。まずは聞く・声に出すをたくさんこなす。テクニックはその後からです。
高校生向け英語勉強法① 英単語
英語を勉強する上で、最も重要なのが英単語の暗記です。和訳や文章を読むとき、文法が分からなくても単語の意味が分かっていれば、なんとなく解けることがあります。単語さえ覚えてしまえば文法や長文読解、英作文もスムーズに学習できるので、しっかり対策しましょう。
短い時間で反復練習
英単語は脳に定着させなければいけません。脳の記憶は一度に大量の情報を入れるよりも、一度の情報量を少なくして入れる回数を増やす方が効率的に定着します。60分まとめてやるよりも20分を3回学習した方が暗記しやすいということです。例えば、通学中や夜寝る前などのちょっとした時間を利用すると効果的な暗記学習ができます。
徐々に定着させる意識を持つことが大事です。記憶は何度も脳に植え付けることでやっと定着します。「なかなか覚えられない」と焦らずに、じっくり時間をかけて取り組みましょう。単語帳を3週ほど繰り返し読めば、かなり英単語力が上がると思います。
文章を通して覚える
長文問題を利用して単語学習をする方法があります。長文問題中の知らない単語にマーカー等で印をつけて、その文章を繰り返し読めば、文章読解と合わせて単語暗記ができます。知らない単語がたくさんありすぎてもよくありません。2~3行に1単語くらいの配分だとベストです。長文問題集は単語帳としても使えることを覚えておきましょう。
音と一緒に覚える
英単語帳にはCDが付属しているものもあります。音を聞いたり、紙に書いたり、体を動かしたり、五感をたくさん使うと脳へ定着しやすくなります。CDを聞きながら学習すれば、リスニングや発音も同時に対策できます。
おすすめ英単語帳
英単語を学習する際に欠かせないのが英単語帳です。持ってない人は必ず買いましょう。
ターゲット1900
王道の英単語帳でシンプルな構成ですが、必要なところはしっかり載っています。非常に使いやすいので勉強もはかどります。
速読英単語 必修編
長文の中に英単語が散りばめられている形で、長文を繰り返し読みながら文章ごと単語を覚えてしまうスタイルです。別売りで専用のCDも入手できるので、リスニングや発音の練習も一緒にしたい方におすすめです。
最近では英単語学習アプリもたくさんあります。スマホがあればどこでも気軽に学習できるので非常に便利です。
高校生向け英語勉強法② 英文法
英文法の学習は「理解する→使いこなす」の2段階あります。特に理解した気になって、実際に問題に直面した時に解けないという方が多いです。文法学習は使いこなせるようになって初めて意味があります。
文法を理解する
文法を理解するには語句同士の関係を把握することが大事です。例文中のSVOCを把握できればぐっと理解しやすくなります。はじめのうちは四角で囲んだり、矢印を引いたりしながら解くと、次第に頭の中で瞬間的に文構造が分かるようになります。
文法書の例文を丸ごと暗記してしまうのも手です。頭の中に例文のストックを溜めておけば、違う文章が出てきても応用できることがあります。
文法を使いこなす
文法はすぐに解ける訓練をしておきましょう。特に長文読解ではいちいち文構造を把握する余裕がありません。文章を見て瞬間的にどういう意味なのかが理解できると、読むスピードが飛躍的に上がります。入試では長文問題に多くの時間を要するので、文法は何度も反復練習をして理解速度を上げる必要があります。
おすすめ文法書
特に文法書は自分のレベルに合わせて選んでみてください。
大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 (名人の授業)
文法が全く分からないという方におすすめです。中学英語から丁寧に分かりやすく解説してくれます。
総合英語 Evergreen
分厚い参考書で文法を網羅的に学習でき、初心者から上級者までおすすめです。文法の辞書代わりにも使えるので、一冊持っておくと非常に便利です。
Next Stage 英文法・語法問題[4th EDITION]: 入試英語頻出ポイント218の征服
文法問題が多数収録されており、演習に最適です。文法理解はある程度できている中級者以上向けです。
高校生向け英語勉強法③ 長文読解
単語と文法がある程度できるようになったら、長文読解に取り組みましょう。大学入試の英語では長文読解が合否のカギとなります。長文読解はどれだけ早く正確に解答できるかが勝負なので、特に時間をかけて取り組みましょう。
長文問題は一つ一つ丁寧に取り組む
長文問題に取り組むと復習せずに放置している方はいませんか?それでは全く意味がありません。長文問題は何度も復習をして、自分の頭に沁み込ませる必要があります。慣れないうちに速読をしようとすると結局なにも身に付かないことが多いです。始めのうちは精読(じっくり読む)を心がけ、丁寧に取り組みましょう。精読と合わせて音読をするとより効果的です。脳は言葉を文字や音として認識するので、読むことに加え声に出すことでより理解しやすくなります。精読や音読を繰り返すと、徐々に速読ができるようになります。
知らない単語は意味を推測する
単語学習をしっかりやっていても長文読解では必ず知らない単語が出てくるでしょう。これは問題製作者が意図的にやっていることで、知らない単語が出てきた時の対応力を見ています。単語帳は1冊を完璧に覚えれば、もう勉強する必要はありません。それよりも単語推測力を高めることを心がけましょう。
ディスコースマーカーに注目する
ディスコースマーカーとは「but , however , for example , actually」など、話の展開を示す語句を意味します。ディスコースマーカーに注目することで、前後の文章の意味をある程度予測でき、文章が読みやすくなります。また、ディスコースマーカーの周辺は解答が隠されていることが多いです。筆者の強い主張が入りやすいからです。普段からディスコースマーカーに印をつけるクセをつけておくと良いでしょう。
for example、for instance、but、however、yet、although(though)、even if、nevertheless、otherwise、in conclusion、as a result、therefore、thus、consequently、while、whereas、meanwhile、actually、in fact、on the whole、in general、also、besides、in addition、moreover、furthermore、additionally、frankly、actually、unfortunately、be afraid、honestly、in conclusion、as a result、therefore、thus、consequently、in short、in other words、or
英語を和訳せずに読む力をつける
英語の読み方は、①英語を日本語に変換しながら読む、②英語のまま意味を理解しながら読む、の2パターンあります。①なら正確に読めますがスピードが遅くなります。②は正確さに欠けますがスピードが上がります。問題解答に関わる部分は①の読み方、それ以外の部分は②の読み方というように、両方をうまく使い分けられると非常に便利です。②の読み方は一見難しそうですが、英語も言葉なので慣れればできるようになります。ぜひ訓練してみてください。
おすすめ長文問題集
長文読解対策の問題集をご紹介します。
やっておきたい英語長文300 (河合塾シリーズ)
やっておきたい英語長文シリーズは問題量が豊富で、たくさん演習したい方向けです。レベル別にシリーズ化されているので、自分のレベルや目標に合わせて購入しましょう。
関正生の英語長文ポラリス[1 標準レベル]
スタディサプリで有名な関正生先生監修の問題集です。厳選した良問を詳しい解説付きで取り組めます。じっくり取り組みたい方におすすめです。
高校生向け英語勉強法④ 英作文
英作文は闇雲に書いてもうまくいきません。始めのうちは難しく感じるかもしれませんが、ちょっとしたコツを知っておくだけで得点源になります。英作文を取りこぼすのは非常にもったいないので、しっかり対策しておきましょう。
文型(S,V,O,C)を正確に組み立てる
解答用紙に書く英文はミスがあってはいけません。ミスを無くすコツは文構造を意識しながら文章を作成することです。どこからどこまでが主語なのか、目的語はどこにおけばいいか、単語や文法は何を使えばいいか、といったことを普段から考えるクセをつけておきましょう。
和文英訳はまず和文を書き直す
当然ですが和文と英文は文構造が異なるので、まずは和文を英文にするための下準備をします。和文では主語が抜けていたり、省略された言い回しが使われることがあるので、文構造を捉えながらより具体的に意味を理解しましょう。子どもでも分かるような文章に書き直すのがコツです。日本語を直接英語に訳そうとせず、「こういうことを言いたいんだな」という推測のもと作成する力が必要です。
模範解答を丸暗記する
英作文はあらかじめ問題集の例文・模範解答を丸暗記することをおすすめします。運よく同じテーマが出題されたら、覚えていることをそのまま書けば満点ですし、たとえテーマが変わっても形を変えて応用できます。自分の力だけで書こうとすると意外とミスが多くなります。例文を暗記するのは面倒に感じるかもしれませんが、それを乗り越えるとおいしい得点源になります。なるべくたくさんの例文を覚えてしまいましょう。
おすすめ英作文問題集
おすすめの英作文問題集をご紹介します。
英作文基本300選
英作文の例文が300も収録されています。この1冊を完璧に使い倒せば怖いものはないでしょう。CD付きなので、聞いて覚えたり、リスニングの練習にもなります。
ドラゴン・イングリッシュ基本英文100
「ドラゴン桜」の英語教師のもとになった竹岡広信先生監修の問題集です。基本例文が100と少ないですが、厳選された質の高い例文が揃っています。こちらもCD付。
高校生向け英語勉強法⑤ リスニング
リスニングは対策が疎かになりがちです。私自身、大学入試では筆記対策ばかりやっていたので、リスニング問題はボロボロでした。そこまで時間を割く必要はありませんが、学習習慣の中に少しでも取り入れて、日常的に英語を聞くようにしておきましょう。
集中して何回も聞く
リスニングの勉強法として「聞き流し」がありますが、これは英語にかなり慣れている上級者向けの方法です。英語にまだ慣れていない高校生にはおすすめしません。海外生活を長く送ってきたような方は別として、一般的な高校生は集中して聞くことを心がけましょう。なるべく同じ音源を何回も聞いて、言葉のイントネーションやよく出てくるフレーズを頭に定着させましょう。似たような会話やフレーズが出てきたときに瞬間的に意味を理解できるようになります。
発音に慣れる
英語には日本語の約10倍もの音があるといわれています。英語では聞いたことのない音がたくさん出てくるため、脳の理解が追い付かないのです。「ア」という音は英語ではさらに4つの音「/æ/、/ɑ/、/a/、/ʌ/」に分類されます。こういった微妙なニュアンスの違いにも気を付けながら、英語を聞けるとより上達します。
単語力・文法力をつける
単語や文法が分からなければ当然意味は理解できません。まずは単語力を上げ、中学・高校の基本的な文法を完璧にしましょう。優先順位は単語→文法→リスニングです。単語は英語のままで理解する訓練をしておくとよいでしょう。「英語→日本語」の変換作業を省き、ぱっとできる状態がベストです。
ディクテーション
具体的な勉強テクニックとして「ディクテーション」があります。これは聞こえてきた英語を紙に書き起こす勉強法です。最初のうちは難しいかもしれませんが、非常に集中して学習できます。一語一語を漏らさないように聞くクセがつきますし、自分の苦手な部分も見つけやすいです。なかなかリスニングがうまくならない方は、ぜひ試してみてください。
おすすめリスニング教材
おすすめのリスニング教材をご紹介します。
関正生の英語リスニング プラチナルール
センター試験から二次試験までオールラウンドに使えます。効果的な解法テクニックを学べるので、初めてのリスニング教材におすすめです。
灘高キムタツの東大英語リスニング
難関大志望者に人気の教材です。タイトルに「東大」と書いてある通りレベルは高いですが、解説が分かりやすくまとまっています。難関大の二次試験対策におすすめです。
高校生向け英語勉強法⑥ スピーキング
スピーキングはTOEFLや英検など、検定試験で問われる能力です。試験を受ける予定の方は対策必須です。
音読を繰り返す
まずは基礎基本の音読です。教科書や愛用の問題集など、なるべく普段から親しんでいる文章を音読するとよいでしょう。さらにCDなどで発音を確認できるものがベストです。生の英語で発音を確認しながら音読を繰り返すことで、より正確な英語を話せるようになります。
シャドーイング
シャドーイングは聞こえてきた英語を後追いで声に出して読む勉強法です。ディクテーションよりもさらに難しいと言われています。まずは音読から始めて、慣れてきたらシャドーイングという流れがおすすめです。せっかくなのでディクテーションも合わせて取り組めると、リスニング対策にもなり一石二鳥です。
英会話に慣れる
スピーキングは対面での英会話に慣れる必要があります。いきなり試験管が相手だと緊張して実力を発揮できないでしょう。しかしながら、練習をしようにも話す相手が必要なのが難点です。塾や予備校に通っていれば対策してくれることもありますが、そうでない方は英語で会話する機会はほぼありません。そこでおすすめなのがオンライン英会話です。オンライン上で気軽に簡単に英会話の練習ができ、社会人にも人気のサービスです。学生用のコースもありますので、興味のある方はご検討ください。
おすすめオンライン英会話
高校生に特に人気のオンライン英会話サービスをご紹介します。
レアジョブ

オンライン英会話ならこれ!といわれるほど、人気のサービスです。業界唯一の上場企業で、全体的にサービスの質が高いです。10段階のレベルチェックや日本人のカウンセリングなど、初心者でも安心のサポートが豊富なので、迷われる方はこちらをおすすめします。
QQEnglish

レアジョブと同様総合力が高いのがQQEnglishです。コストパフォーマンスが高く、安心して受講できます。カランメソッド学習(速いテンポで質問・解答を繰り返す)を取り入れ、通常よりも4倍のスピードで学習できます。
Kimini英会話

大手教育企業学研グループが提供するサービスです。ホワイトボードを使いながら学べるので、高校生にとっては馴染みのスタイルで学習できます。英検対策用のコースがあるので、英検取得を目指す方におすすめです。
まとめ
英単語・英文法・長文読解・英作文・リスニング・スピーキングの勉強法を解説してきました。以下、簡潔にまとめます。
英語勉強法④ 英作文
英語が苦手な人もまずは単語・文法から丁寧に勉強してみてください。それだけでもかなり効果があるはずです。長文読解や英作文はテクニック的な要素も必要です。勉強を進めていくとオリジナルの勉強法を確立できるかもしれません。リスニングとスピーキングは「慣れ」が必要です。まずはCDを聞いたり、音読を通して土台を作り、さらに実力をつけたい方はオンライン英会話にも挑戦してみてください。
英語はできるようになるととても楽しいです。ぜひ本記事を参考に英語を得意科目にしていただけたら嬉しいです。
以上で高校生向け英語勉強法の解説を終わります。ご閲覧ありがとうございました。